会長挨拶

 

日本学校健康相談学会第7期会長に就任しました亀崎路子と申します。さまざまな人の縁に引き寄せられて、学会の運営を引き続き担うこととなりました。また、第6期体制の終わりに近づく20211020日に、名誉役員の森田光子先生がご逝去されました。享年92歳でした。思いもかけないことで言葉にならないという会員の皆様の思いを受止め、第18回学術集会において、理事会企画「森田光子先生から学んだこと」を開催しました。会員からのメッセージを共有する中で、森田先生から学んだことが様々な形で生きていることを感じることができました。これまでの学会の設立経緯を踏まえ、本学会を支えてこられた方々を尊敬しつつ、会員のみなさまと共に研究を深め、より一層養護教諭の行う健康相談を豊かなものにしていくよう努めてまいります。よろしくお願いいたします。

なお、機関紙HUTAN51号に掲載された会長挨拶の頁を、ここに抜粋して掲載いたします。多くの方々にご覧いただき、本学会へのご入会、ご参加をお待ちしております。

ところで、私は、大学3年のときに、実習先で出会った養護教諭の存在感や保健室の魅力にひかれ、大学時代の恩師の影響もあり、人が育つとはどういうことかを追究するようになり、そのことに関われそうな養護教諭の道に進みました。1980年代半ば、私が養護教諭になりたての頃に、誘われて参加した健康相談の研究会には、飯田澄美子先生や、鈴木美智子先生がいらして、学校に支援システムを作り、教職員を上手にリードしている熟練者がいる、と感嘆したことを覚えています。また、ある先生が途中から飛び入りで参加されて、養護教諭が研究することの意義について語られたことがありました。参加者が会の進行を中断して、その先生の身体を気遣いながらもお話しを敬って聞かれていたことが記憶に残っています。この方が、小倉学先生でした。事例検討会に事例を出したときには、オブザーバーだった福田邦三先生が、そっと近づいてこられて、実践保健学という本を渡してくださったことがありました。自分の力のなさに自己嫌悪の日々でしたが、その研究会に参加をすると、居心地の良さを感じ、困っていることにもう一度向き合ってみようという気持ちにさせてくれる場であったように記憶しています。

本学会の前進である「養護教諭の相談を学ぶ会」も、恐らく、あのような雰囲気の中で、熱心な養護教諭の方々が集い、現場で日々の対応を記録に残し、それらを事例として持ち寄り、養護教諭の相談的な対応の意味を丁寧に検討し、有効な方法を考察し、そこから理論を導き出そうとし、子どもへの支援のスキルを高めあっていたのだろうと想像します。そのメンバーの方々が、本学会の設立に尽力され、ここまでに育ててくださったことを思うと、今後も、事例検討や実践研究を受け継いでいくことが大切であると考えております。

会員の皆さまと交流を深め、ともに育ち、育てられながら、養護教諭の行う健康相談の実践を支える理論を創出していくよう努めてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

20226

日本学校健康相談学会 会長 亀崎 路子